キッズハウス
建築そのものが治癒の手段となるように
建築概要
用途 | 託児所付小児科 |
---|---|
構造・規模 | RC造 2階 |
竣工 | 1997年12月 |
所在地 | 愛媛県伊予郡松前町 |
「キッズハウス」は、小児科の診療所と、病児保育のための託児所からなり、開業6年目の「むかいだ小児科」の別館として、今回隣接地に建築された。 既存「むかいだ小児科」の外観が大きな三角形屋根を特徴とした「家」のイメージであるのに対し、「キッズハウス」は曲面壁と丸い窓、幾何学的なプランによる抽象的な形態である。対比させることによって外観のおもしろさを強調し、また外部の色を合わせることによって、施設全体の統一性を図っている。
おもしろさの演出が、今回の計画のテーマの一つでもある。 最近「ヒーリング・エンバイロメント」という概念が注目されており、建築そのものが治癒の手段となるよう、この「キッズハウス」にも建築的な処方を試みている。アプローチの曲面壁には、幼児の目の高さにある小さな丸窓がいくつも開けてあり、子供たちは中を覗いていくうちにいつのまにか入口まで辿りついている。 内部においても、子供たちの動線は曲面壁にそって構成されており、流れるような空間の連続性が、楽しさや開放感をうみだしている。
曲面壁は陽気さや活発さを表現するオレンジ色に、階段室は勇気を与える黄色、ドアやイスは心を落ち着かせるブルー系、そして窓枠や診療室はリラックスを促すグリーン系など、さまざまな建築エレメントに意味を持たせた色彩を施し、暖かい雰囲気と適度な緊張をもたらす効果をねらっている。 吹抜けやトップライト、多様な開口部など、さまざまな建築的手法を用いて創られた変化に富んだ刺激的な空間は、自由で元気の出る環境をつくりだすにちがいない。。
ハード面における「癒しの環境」づくりとは、快適で心地好い空間づくりであり、限られた条件の中で患者本位の質の高い空間を創ることが建築家の使命であろう。 「キッズハウス」が、今後地域の子供や働く母親から永く親しまれ、「生活支援サービス」のシンボルとなることを願っている
MEDICAL-FACILITY